製造効率を上げる4つのステップ

このブログでは、製造効率を上げるための戦略的ステップとして、従業員エンゲージメントの強化、データインテリジェンスの活用、スケジューリング効率向上、シックスシグマによるプロセスの最適化の4つのステップを紹介します。それぞれのセクションで、これらの戦略がいかにアウトプットの増強や品質向上、コスト削減、安全性向上、持続可能な製造環境の強化につながるかを示しながら、実装と利点に関する実際的な考察を提供します。

  1. 従業員エンゲージメントの強化
  2. データインテリジェンスの活用
  3. スケジューリング効率向上
  4. シックスシグマによる最適化

計画外のダウンタイム、低品質、パフォーマンスの問題などに起因する生産ロスを監視、レポート、および分析しましょう。

製造における効率と生産性

製造の世界では、「効率」と「生産性」は、多くの場合、特に区別することなく使用されていますが、この2つの言葉は製造プロセスの明確に異なる面を包含します。運用の最適化とコスト削減を目指す製造業者には、この違いを把握することが極めて重要です。

製造効率の定義

製造効率の議論では、出力を生み出すためにいかにうまくリソースを活用するかという点に焦点を当てます。単に出力の量について話題にするのではなく、出力を達成するための最適な入力の使い方に注目するのです。効率は、与えられた時間枠の中で達成可能な出力に対する実際の入力を比較することにより測られ、無駄になるリソースが少なければ少ないほど効率が高いと解釈されます。それが使用する原材料であれ、時間であれ、エネルギーであれ、とにかくより少ないものでより多くを行える場合に「効率が高い」ことになるのです。

製造の世界での生産性とは

一方の生産性はもっと幅広い尺度であり、通常は、決まった期間全体に渡る出力の、使用した入力に対する相対的な量に注目します。測られるのは製品が作られる速度であり、必ずしも消費されたリソースが重要視されるわけではありません。生産性が高いとは、より多くを生産することを意味し、必ずしもリソースに関して最も効果的な方法で生産が行われることを意味しているわけではないのです。

出力: 共通の基準

効率と生産性にはそれぞれ独自のニュアンスがあるものの、どちらもあらゆる製造業務の心臓部となる「出力」の向上を目指しています。それが部品であれ、製品であれ、サービスであれ、出力は製造プロセスの明らかな結果です。効率の向上は、無駄やダウンタイムの削減を意味する場合もありますが、生産性の向上は、むしろ原料歩留まりや生産率の上昇、作業者のパフォーマンスの向上などに関わります。

2x2 multi trend parcview display.

製造目標の達成をマルチトレンドで可視化: 効率と生産性をリアルタイムで追跡し、最適化しましょう。プロセスの変更がいかに出力に直接的な影響を与えているかを確認できると、十分な情報に基づいた意思決定を行うことができ、生産品質とパフォーマンスの向上につながります。

製造効率と生産性の両方を明確に定義して測定すれば、どの分野で向上を目指すことができるかを特定できます。たとえば、dataPARCの製造プロセス最適化ソフトウェアは、これを行ううえで極めて有用なツールと成り得る製品であり、効率と生産性の成果を区別して両方を向上させる戦略を実装するために必要な洞察が得られます。

製造効率を上げるためのステップ

ステップ1: 従業員エンゲージメントの強化

従業員エンゲージメントの取り組みには、誰も排除されることなく参加できる文化の創造が含まれます。向上心を引き起こすようなフィードバックを行い、開かれたコミュニケーションを育み、意思決定プロセスに寄与できる機会を従業員に提供しましょう。評価プログラムを実施したり、キャリアアップへの明確な道筋を示すことでも、従業員エンゲージメントを強化できます。

あらゆる効率向上プロジェクトの成功の鍵は、作業者の積極的な参加を得ることにあります。従業員は、仕事に傾倒しており、自分に価値があると実感していると、効果的に協力し合ったり、変化を受け入れたり、トレーニングプログラムに積極的に参加したりしやすくなります。

この基本的なステップを実施することにより、効率向上のための今後の活動が抵抗なく熱意をもって受け入れられ、全員が力を合わせて共通の目標に向かうことができるようになります。効率向上が従業員の時間を最大限に活用することを目指している点を強調して、従業員がより優先度の高い仕事に注力できるようにすれば、従業員の個人的な利益と組織全体の目標が合致するようになります。

ステップ2: データインテリジェンスを活用する

データインテリジェンスを活用するには、製造プロセスに関連するデータを収集、分析し、解釈するシステムを実装します。リアルタイムの洞察が得られ、データに基づいた意思決定を支援してくれる製造分析ソフトウェアを活用するのです。

dataPARC graphic of a bleach plant with a variety of tanks, lines and trends within the tanks.

dataPARCの動的なグラフィックで生産性監視のためのリアルタイムの明確さを体感してください。クリック1つでデータをトレンド化でき、いつでも即座に分析結果を確認して思いのままに活用できます。

正確なデータがなくては、向上を目指せる分野を特定する作業が闇雲になってしまいます。データインテリジェンスツールは、非効率的な箇所をピンポイントで特定したり、将来発生する可能性のある問題を予測したり、戦略的な意思決定を導いたりして、製造効率を大幅に向上させてくれます。このステップにより、効率を上げるための取り組みが、十分な情報に基づいており目標の定まった効果的なものになります。

ステップ3: スケジューリング効率を上げる

生産スケジュールとサプライチェーン管理を見直して、最適化しましょう。高度なスケジューリングソフトウェアを活用すれば、生産を需要に擦り合わせ、ボトルネックを減らし、材料フローを向上させることができます。納期や在庫管理、サプライヤー関係に改善できる点はないか探るべく、サプライチェーンを評価しましょう。

プロセス変更まで掘り下げる前に、スケジューリングやサプライチェーン管理などの上流要素を合理化することは極めて重要です。これらの領域の非効率性は、遅延を発生させ、コストを増大させて、プロセスの改善を台無しにする可能性があります。スケジューリングとサプライチェーンの運用を最初に最適化することで、より集中したプロセス改善の確固たる基盤を固めることができます。効率的で応答性の高い上流操作によって、生産ラインでの変更が支えられるのです。

製造指標を理解する: プラントのピークパフォーマンスのKPIを決定、測定、レポートするためのガイドです。

ステップ4: シックスシグマでの最適化

シックスシグマの手法を実装することにより、無駄の削減と排除を組織的に行い、品質を向上させ、効率を上げることができます。目標を定め、現在のパフォーマンスを測定し、データを分析し、プロセスを改善し、成果を管理することから開始して、進歩を維持します。

最初の3つのステップに取り組むことなくシックスシグマプロジェクトに着手すると、却って非効率性につながる場合があります。従業員エンゲージメント、データインテリジェンス、およびスケジューリング強化に先に取り組むことにより、シックスシグマのデータに基づくきめ細やかなアプローチで向上し続けることができる成熟した環境が作り上げられるのです。従業員の積極的な参加、必要なデータ、および最適化された上流環境が揃っていれば、シックスシグマで効果的に無駄を削減し、プロセスを改善して、製造効率の持続可能な向上を実現することができます。

製造業者は、この4つの戦略的ステップに従うことにより、効率向上のための総合的なアプローチを取って、生産性、品質、および全体的なパフォーマンスの大幅な向上を推進することができます。

進捗を測る方法: 製造効率のKPI

製造効率向上の進捗を監視することは、実施した変更の影響を理解し、さらなる向上に導くうえで極めて重要です。主要業績評価指標(KPI)は、製造のさまざまな面全体に渡って有効性を評価するために必要な測定基準となります。KPIの詳細については、「製造業でのKPI設定例: 成功を測る10の計算式」を参照してください。

設備

指標を理解すると、現行の設備の有効性を明らかにできるだけでなく、将来の改善のための戦略的な意思決定にもつながります。以下、個々のKPIを取り上げ、それらを活用して設備のパフォーマンスを評価し、向上させる方法を示していきます。

切り替え時間:

設備で生産する製品の切り替えに要する時間を最小化できると、運用の柔軟性が向上するうえ、アイドル時間が短縮されます。

総合設備効率(OEE):

この包括的な指標は、可用性、パフォーマンス、品質を組み合わせたもので、設備の有効性の全体像が得られます。OEEのパーセンテージが高ければ高いほど、設備が効率よく使用されています。この値には、製造の生産性向上との直接的な相関関係があります。

設備の実装と有効性の分析に必要な項目をガイドを使用してまとめて検討いただけます。

コスト

これらの指標を細かく監視することにより、収益性強化の機会をピンポイントで見つけ出し、効率を上げ、運用を合理化することができます。以下、コストのさまざまなKPIが製造で果たす役割を見ていきます。

単位当たりのコスト:

この指標は、単一のユニットの生産で発生する総費用を計算したもので、すべての直接費および間接費が含まれます。製造効率の基本指標であり、コスト削減戦略につながり、価格決定に役立ちます。

単位当たりの総製造原価:

このKPIは、各単位の製造にまつわる全てのコストの包括的な視点を与えます。これにより、生産のさまざまな面全体におけるコスト削減の機会を突き止めるための基準が得られます。

歩留まり

歩留まりは、製造における生産効率と製品品質の決定的な指標です。以下、主な歩留まりKPIを取り上げ、その製造プロセスにおける重要性を見ていきます。

顧客返品率:

基本的には顧客満足度指標ですが、返品率が高いことは、製品の品質または生産プロセスに根本的な問題があって、それが歩留まりに影響しており、製造のライフサイクル全体を詳しく検証する必要があることを示している可能性があります。

直行率(FPY):

やり直しを一切必要とせずに品質基準を満たした製品の割合である直行率は、プロセス効率および品質管理の有効性の直接指標です。FPYが高くなることは、製造プロセスが良好に最適化されており、初回から正しく生産される製品が増えており、無駄が削減されて、生産ラインの全体的な効率がさらに向上したことを示しています。

全収率:

この幅広い指標は、生産総数に対する効果的な出力の割合を反映しており、その値には生産プロセスのすべての段階が含まれます。この指標は、リソースがどの程度うまく最終製品に変換されているかに関する総合的な視点を与えるもので、これによって製造プロセスの全体的な有効性が浮き彫りになります。

Customized PARCview KPI dashboard example. This dashboard has quality dials of first pass yield and final yield that are zoomed in on.

dataPARCのグラフィックでは、直行率および最終歩留まりが、その他の主要品質指標とともに表示されて監視できます。逸脱をリアルタイムで突き止め、トレンドを分析し、歩留まりをその他の運用パラメータと関連付けて、生産品質に影響を与えている要因を即座にピンポイントで見つけ出して対処することができます。

労働

労働力の効率と生産性は、製造業の運用成功の要です。労働関連の個々のKPIを分析することにより、労働力のパフォーマンスと、改善が見込める領域に関する貴重な洞察が得られます。

労働効率:

このKPIは、一定期間に渡って労働力によって生成された出力の量を評価するもので、労働リソースがどの程度効果的に活用されているかに関する洞察が得られます。労働効率を監視することにより、生産性を上げるためのトレーニングの強化、ワークフローの合理化、人員数の調整などの機会を特定することができます。

残業:

残業はときには必要なものですが、過度の残業は、労働力計画またはプロセス管理の非効率性を示している可能性があります。残業を追跡すると、現在の労働リソースが生産ニーズに見合っているかどうかを評価するのに役立ち、ボトルネックや人員不足などの注目する必要がある根本的な問題が明らかになる場合があります。

従業員離職率:

高い離職率は、採用およびトレーニングにかかるコストの増加や生産ラインの中断につながる可能性があります。離職率を監視すると、従業員定着率や従業員満足度を向上させるための戦略開発に役立ち、より安定した経験豊かな労働力に寄与します。

適切なKPIは、さまざまな製造プロセスのパフォーマンスを評価し、改善が見込める領域を突き止めるために必要な情報を与えてくれるため、適切なKPIを選択することは極めて重要です。KPIを自社のプラント固有の目標および課題と注意深く擦り合わせることにより、効率面での目標に直接関連する指標を監視することができます。

製造効率向上の利点

製造効率が向上して得られる利点はさまざまな側面に展開し、プラントの出力やコストパフォーマンスの向上のみならず、より持続可能で安全でありポジティブな職場環境の育成にもつながります。以下、無駄のない製造の利点に関する幅広い視点を提示します。

  • 出力と生産性の向上: 効率向上は、標準出力および生産性の大幅な向上につながります。最適化されたプラントは、リソースを最適な形で使用し、少ない時間で優れた商品を生産することができるため、市場の要求に迅速に対応でき、事業成長の可能性が広がります。
  • 環境面の持続可能性: 効率的なプラントは、リソース使用を最適化し、無駄を最小化することで、結果的に環境への影響を低減でき、持続可能性に貢献します。運用のエネルギー効率がよくなると、コストが低減し、炭素排出量の削減に貢献でき、プラントの運用を幅広い環境上の目標と擦り合わせることができます。
  • 安全性の強化: プラントの効率と秩序は、安全な作業環境を促進します。SOPおよび定期的なメンテナンスをクリアにすると、事故のリスクが低減し、職場が安全になって、業務中断の可能性が最小化されます。
  • 品質向上: 効率的なプラントでプロセスが合理化され、監視されていると、効率が最大化され、高い製品品質が保証されます。生産方法の一貫性は欠陥の低減につながり、顧客満足度やブランドの評判が向上します。
  • コスト削減: 効率が上がると、無駄の最小化、リソース使用の最適化、およびプロセスフローの向上によってコストが削減され、再投資の節約や利益率向上が可能になります。
  • 従業員の定着: 効率的なプラントでは、従業員が自分に価値があり自分は生産的であると実感できるようなポジティブな職場環境が育まれます。効率が高いことは、多くの場合、高い従業員満足度と相関関係があり、それによって離職率が下がり、ひいていはトレーニングおよび雇用活動に要する費用が低減します。

製造プラントは、効率向上に取り組むことにより、運用関連の指標を強化できるだけでなく、自社の労働力、環境、およびその成長と適応のための能力をサポートし、成功を持続させるための強固な基盤を作り上げることができます。

製造指標を 理解する

プラントのピークパフォーマンスのKPI を 決定、測定、レポートするためのガイドです。