プロセスデータの可視化/分析ツールに代表されるPI Vision。PI Server (OSIsoft/AVEVA社) の知名度から、多くのプロセスメーカーに選ばれるソフトウェアです。しかしどのようなソフトウェアにも、制約や欠点はつきものです。
OSISoft社のPI Visionは、Webベースの可視化ツールです。グラフィック、ダッシュボード、レポート、その他の視覚化を通じて、リアルタイム及び過去のプロセスデータに対して、簡単にアクセス/操作ができます。
優れた分析ツール、より高速なパフォーマンス、低コスト。dataPARCがプロセスデータの視覚化と分析においてPI Visionより優れた選択肢である理由をご覧ください。
時系列データ業界で、25年以上にわたり事業を展開しているOSIsoftとdataPARC。私たちは同じプロセス製造設備に足を運び、同じ顧客を共有してきました。数百回にわたりdataPARCのデータ可視化ツールをPI Serverに接続してきた私たちは、業界を知り、エンドユーザーを知り、ユーザーとの対話を続けています。
現在、OSIsoftはProcessBookのサポート終了を宣言し、PI Visionプラットフォームを推進しています。多くのユーザーは、新たに提供されたPI Visionに満足しています。一方で、失望の声を寄せるユーザーがいることもまた事実です。
この記事では、まずPI VisionとProcessBookを比較し、次にPI Visionユーザーから提供された意見を共有します。そして、より高い機能性と操作感を提供する代替ツールを紹介します。
【PI Vision】ProcessBookに対する優位性
PI Visionは、ProcessBookの後継ソフトウェアとして位置付けられるツールであり、新機能や改善点が多数導入されています。以下にその一部を紹介します。
拡張性の向上
PI Visionは、ProcessBookよりも大量のデータと多くのユーザーを処理できます。
柔軟な可視化機能
PI Visionは、HTML、JavaScriptなどのWeb技術を使用して可視化ツールをカスタマイズすることで、より柔軟で強力な可視化機能を提供します。
データ共有能力の向上
PI Visionでは、ユーザーは組織内外の他のユーザーと簡単にデータを共有することができます。
モバイルアクセス
PI Visionはモバイルデバイス向けに最適化されており、ユーザーは外出先からデータにアクセスし、操作できます。
セキュリティとコンプライアンスの強化
PI Visionは、強化されたセキュリティ機能が組み込まれており、NISTなどの業界標準へのコンプライアンスをサポートしています。
PI Visionの全体像を見ると、ProcessBookよりも現代的で、かつ柔軟性に富んだ強力なツールです。データに基づき意思決定を行っていく、現代的な組織の要求を満たしているといえます。
【PI Vision】代替ツールを探す理由
PIはProcessBookのサポートを2024年に終了します。多くのプロセスメーカーは、ProcessBookから別のデータ可視化ツールに移行しなければなりません。
PI Visionは、PI ServerとProcessBookを利用してきた多くのメーカーにとって、自然な選択肢といえます。そして前述の通り、PI Visionは様々な点で強力なプラットフォームでしょう。
しかし、PI VisionはProcessBookとは大きく異なるアプリケーションです。長年にわたりProcessBookを使用してきた多くのユーザーは、OSIsoft/AVEVAの新規webプラットフォームを受け入れることに苦労しています。また一部のユーザーは、PI Visionの利点を欠点として見ている部分もあります。
弊社のお客様や他のPI Visionユーザーの方からは、以下のような課題が指摘されています。 (以下は個人の見解であり、アップデートや回避策により解消される場合があります。
『ProcessBookとPI Visionのベストな代替ソリューション』ガイドで、dataPARCとPI Systemを比較しましょう。
運用上の不満
PI Visionについて最も多い批判の1つは、使い勝手についてです。 PI Visionの主な操作の多くは遅い、または面倒だと指摘されています。さらに、多くの操作では追加の手順が必要だったり、権限を持つ人とのコミュニケーションが必要となります。
お客様によれば、dataPARCの (そしてProcessBookの)トレンドとディスプレイはPI Visonよりも遥かにシンプルであり、スムーズな画面構築ができるとのことです。更により多くの機能が利用可能で、オフライン環境でのコンテンツ構築や再構築は必要ありません。
スクリプトのサポート終了
ProcessBookとdataPARCはサポートしていますが、PI Visionはスクリプトをサポートとしていません。PI Visionで他のシステムの情報にアクセスすることや、カスタムアニメーションを構築することは難しいです。
ディスプレイの移行制限
ProcessBookのディスプレイをPI Visionに変換することは可能です。しかし、ProcessBookが提供する複雑なディスプレイを運用しているユーザーにとっては、いくつかの制限があります。また、PI VisionディスプレイはHTMLベースのため、ソフトウェアベースの複雑なグラフィックの再現が困難です。
機能を維持したままProcessBookディスプレイを移行する方法
パフォーマンスの問題
一部のユーザーにとっては、大規模または複雑なデータセットを扱う際に、ロード時間の遅延やレンダリング品質の低下など、パフォーマンス上の問題が生じる可能性があります。これは、PI VisionがHTMLベースであり、ほとんどのプロセスがサーバーサイドで行われることが一因となっています。これにより、適切なロード時間でユーザーが受け取るタグの数、データの頻度、時間枠が制限されます。
カスタマイズ性の低下
カスタマイズ性についても、PI Visionは一部の顧客の期待に応えられていません。ProcessBookでは、ユーザーがタグの色やトレンドの背景、フォントなどの視覚的カスタマイズをしていました。しかし、PI Visionへの移行後、多くの機能が失われは、ディスプレイの可読性が低下しました。これは、オペレーターがデータの解釈に時間を要することに繋がります。
ライセンス費用
PI Visionのライセンスは、ユーザーごとのモデルに変更されました。その結果、dataPARCなどの他のプラットフォームが提供するサイトベースのライセンスに比べて、コストが高くなる可能性があります。
導入済のPIサーバーとの統合可能。リアルタイム監視と原因分析を実現します。
PI Visionの有力な代替ツール
1.【dataPARC】PARCview
dataPARCのプロセスデータ可視化/分析ツール「PARCview」。組み込みSPC機能やマルチトレンド、スクリプトといった、PI Visionには無い重要な機能を備えています。PI Vision以外の代替ツールを探している方にとって、dataPARCは検討すべき価値があります。
PIとの接続
dataPARCは、PI Data ArchiveやPI Asset Frameworksとネイティブに統合されています。ユーザーは既存の時系列データへのアクセス/可視化が可能です。
また、dataPARCは、PI Visionへ移行を躊躇うProcessBookユーザー向けに非常にシンプルな移行パスを提供しています。PI Visionへの移行が難しいデータについても、dataPARCへと移行できます。
- ProcessBookディスプレイ(PDI、PIW)
- DataLinkディスプレイ
- 計算とデータセット
- アニメーション 、ボタン
- VBAからVB.NETへの変換
使いやすさ
お客様によるdataPARCの評価ランキングでは、使いやすさが常に上位に位置しています。dataPARCはその直感的なインターフェースを通じて情報管理のプロセスを簡素化し、産業分析ツールの経験が少ないユーザーでも使用できるよう設計されています。この使いやすさがソフトウェアの高い導入率につながり、多くのユーザーがコンテンツを作成し、その強力なツールの恩恵を受けられるようになりました。
タグブラウザやディスプレイからドラッグ&ドロップでトレンドをすばやく作成できるソフトウェアは他にありません。
トレンドとディスプレイ
dataPARCは、プロセスデータ分析に利用できる最良の時系列トレンドアプリケーションとして広く認識されています。また、ProcessBookのような柔軟なディスプレイ構築ツールに慣れ親しんだユーザーはは、dataPARCによる同様の機能と素早い動作に満足いただけるはずです。
- カスタマイズ可能なプロセスディスプレイ
- リアルタイムダッシュボード
- 制限付きチャート
- データ手入力ツール
- Excelプラグイン
- その他
高度な分析機能
PI Visionを更に進歩させたようなdataPARCの分析機能は、予測分析において強力なデータモデリングを提供します。
パフォーマンス
dataPARCは独自の高パフォーマンスアーカイブエンジンでPI Serverに接続し、数時間、数日、数ヶ月分の高解像度データを「数秒以内に」表示できます。従って、同じデータをより早く取得できます。
サードパーティの統合
dataPARCのAPIはオープンエコシステムをサポートしており、ユーザーは事実上全てのデータソースに接続できます。以下はその例です。
- データベース
- 社内アプリケーション
- サードパーティー製アプリケーション
追加のデータソースへの接続は基本的に無料で、将来的にも使用し続けることができます。
モバイル/デスクトップ 両方のサポート
dataPARCのデータ分析/可視化ツールは、ブラウザとデスクトップの両方で利用可能です。モバイル端末から外出先で手軽にアクセスできる一方、デスクトップから強固な分析やモデリングを行うことができます。
dataPARCは、Webアプリケーションとデスクトップアプリケーションの開発とサポートに、引き続き力を入れていきます。
ユーザーライセンス無制限
dataPARCのライセンス価格は「タグ点数」ベースであり、ユーザー数や接続数ではありません。よって、追加のライセンスを購入することなく、誰でもどこからでも情報にアクセスできます。また、dataPARCはクライアントのインストール毎の料金は発生しません。必要な数のユーザーマシンにdataPARCをインストールできます。
2. 製造管理/監視アプリケーション
製造インテリジェンスアプリケーションは、製造業の現場に特化したツールに焦点を当てて設計されています。これらは、24時間体制で生産プロセスを継続的に監視し、管理するための各種ツールやモジュールを提供します。例えば、ダッシュボード、レポート、SPC/SQCツール、ダウンタイム追跡等、効率的な生産管理に必要な機能が備わっています。
このカテゴリーにおいては、PI Visionがその優れたダッシュボード機能で注目を浴びていますが、市場には同様に素晴らしい成果をもたらす可能性のある代替ツールも多数存在します。特にSPCなどの高度な機能を考慮すると、多くの有力な選択肢があります。したがって、PI Visionの代替ツールを探す際には、あなたの特定のニーズに最適なツールを見つけるために、高度な機能を含む広範な要件を検討することが重要となります。
多種多様な分析ツール、高速パフォーマンス、低コストなど、プロセスデータの可視化と分析に関してdataPARCがPI Visionよりも優れた選択肢である理由をご覧ください。
3.エンタープライズ可視化システム
エンタープライズ可視化システムは、複数のプラントや様々なソースからのデータを収集し、企業全体レベルで分析するために集約する専用のソフトウェア/アプリケーションです。このシステムは主に、リモートからの監視と診断を目的とし、中小企業であっても全世界の資産管理に効果的に活用することができます。
このシステムはプラントの現場での日々の運用管理に直接的には役立つものではありませんが、企業全体のプラント運用を広範に視野に入れることが可能です。そのため、全体のプラント運用に対する洞察を得るための高度なダッシュボードツールを求めている企業にとって、選択肢として適しています。
現在ProcessBookを使用しており、日々の運用管理に重きを置いている場合、エンタープライズ可視化システムは最も適した選択肢ではないかもしれません。しかし、企業全体のプラント運用を広範に見ることを目指しているなら、高度なダッシュボードツールを探究する価値があります。これらのツールは、トレンドの特定、情報に基づいた意思決定、および世界規模での運用最適化に貢献する幅広い機能を提供します。
4.高度な分析/統計アプリケーション
これらのアプリケーションは、機械学習と人工知能のアルゴリズムを用いた大量のデータ分析、パターンの検出、そして将来のイベントの予測を行う新世代の産業用分析ツールです。高度に洗練され、生産プロセスの様々な側面に対する深い洞察を提供するため、特に機器の故障予測やメンテナンス要件の予測に有用です。予測的分析を活用することで、組織は効率を高め、無駄を省く機会を特定することも可能です。
これらのアプリケーションは、日々の運用やエンジニアリングを担当する人々にとっては不適切かもしれませんが、より高度なアプローチを求める組織にとっては、これらが提供するツールが活用できます。具体的には、従来の分析ツールでは検出が困難だったデータ内の複雑な関係やパターンを特定する能力を提供します。これにより、組織は最終的な収益に大きな影響を与える可能性のあるデータに基づき、意思決定を行うことができます。
したがって、PI Visionよりも更に高度な機能をもつ代替ツールを求める組織にとって、これらのアプリケーションは優れた選択肢となるでしょう。これらのツールを活用することで、生産プロセスに関する有益な洞察を得て、運用の最適化と全体的な業績向上に役立つ情報に基づいた意思決定が可能となります。
『PI Serverデータ視覚化ツールガイド』で、ProcessBookとPI Visionの上位代替ツールを評価できます。
5.データ可視化/ヒストリアン製品
このカテゴリーには、ProcessBook、PI Vision、dataPARCなどのアプリケーションが含まれます。これらのアプリケーションは、上述した他のカテゴリーにある機能を提供することもあります。また、プロセスデータヒストリアンと連携したデータ可視化ツールとして設計されており、特にOSIsoft/AVEVAのPI Serverヒストリアンと連携している場合が多いです。
前述したように、dataPARC – PARCviewは、優れたPI Vision代替ツールとなります。しかし、ヒストリアンデータの探索的なアドホック分析を行う時系列データ可視化アプリケーションは、他にも存在します。これらのアプリケーションを利用すれば、ユーザーは大量のプロセスデータを短時間で容易に可視化および分析でき、運用の最適化に寄与するパターンやトレンドの特定をサポートします。
総評として、ヒストリア製品はPI Visionの優れた代替ツールとなるでしょう。特に、運用において情報に基づいた意思決定を行うための強力なデータ可視化ツールを求める組織にとっては顕著です。アドホック分析またはより構造化されたレポートに興味がある場合でも、生産プロセスに関する有益な洞察を得るための様々な機能を提供しています。
【PI Visionの代替ツール】結論
PI Visionはプロセスデータの可視化/分析の代表的な選択肢ですが、いくつかの制限と欠点もあります。dataPARCは、より優れた機能性、使いやすさ、およびカスタマイズ性を提供します。
適切なツール選択のためには、短期間のトライアルを実施し、機能や拡張性を評価することが推奨されます。 また目的・予算・組織・設備規模に合ったツールを選択し、効果的に運用していくことが重要です。
ガイドをダウンロード
PI ProcessBookとPI Visionの有力な代替ツール、dataPARC。