dataPARCとPIの比較

プロセス産業においては、「最適化」が効率性の鍵となります。最適化は利益につながり、メーカーは無駄を削減し、より多くの生産を可能にします。製造プロセスを最適化するために、多くのメーカーは「時系列データヒストリアン」と「データ可視化ソフトウェア」を組み合わせて使用しています。
この記事では、分野のリードする製品である「dataPARC」と「PI」を比較しながら、dataPARCの特徴を見ていきます。

データに基づいた意思決定を可能にする、dataPARCのリアルタイムプロセス分析ツールをご紹介します。

dataPARCとPI : 共通点

dataPARCとPIはともに数十年にわたる歴史があります。世界各地の主要なメーカーに対して、大規模な導入実績を多数有しています。

dataPARCとPIには以下の共通点があります。

  • リアルタイムのデータヒストリアンを提供
  • バイナリ、クラスターインデックス、フラットファイルを使用して履歴を保存
  • 複数の大規模データソースによる複雑性に対応するアセット構造
  • トレンド、グラフィック、レポートなど、期待される分析および可視化ツールの多くを提供
  • 様々な制御システムに接続し、時系列データをリアルタイムで収集可能
  • データ接続が途切れた場合に備えたバッファリング機能
  • 大規模なタグカウントシステムと連携可能

次に、dataPARCとPIの具体的な違いと、dataPARCの特長について紹介します。

dataPARCとPI: 相違点

コスト

2つのデータヒストリアン/プロセスデータ可視化ツールの比較において最初に重視される点は、コストです。端的に言えば、dataPARC導入による総費用は、業界の類似ソリューションと比較して低いと言えるでしょう。またPIシステムと比較すると、導入費用と保守費用のどちらもdataPARCが格段に低いです。

その主な理由は、dataPARC「ユーザライセンス無制限モデル」によるものです。dataPARCはプラントの全従業員が生産データにアクセスし、データに基づく意思決定を行う、データドリブンな組織に最適といえます。dataPARCの価格は「導入タグ点数」によって決定されます。

一方、PIは「ユーザライセンスモデル」を採用しています。これは小規模な企業や、プラットフォームにアクセスする人数が少ない組織に適しています。しかし大規模メーカーや企業全体での大規模プロジェクトの導入においては、コストが高くなる傾向があります。

dataPARCでは、データにアクセスする必要があるすべての人が、追加コストなしでアクセス可能になります。これにより、すべての従業員がデータに基づく意思決定を行うことができます。

PI データヒストリアンの代替案を検討中ですか?低コストでエンタープライズレベルのデータヒストリアンを導入できます。dataPARCのPARCserverヒストリアンを調べてください

ユーザーエクスペリエンス

お客様にdataPARCの上位3~5つの利点について尋ねると、使いやすさが常に上位にランクインします。dataPARCはシステムにありがちな複雑さを取り払っています。「コンピュータの専門家」でなくてもコンテンツを作り、価値を生み出すことが可能であると知られると、組織内で広く利用されるようになります。

タグ検索とトレンド表示は、初心者でもすぐに実践できます。そしてdataPARCの多くの機能は、右クリックから実行できるという感覚を身につけます。例えばトレンド統計や分析、アラームイベント管理、データエクスポート、X/Yプロット、ヒストグラム、パレート等の表示作成など。多くの操作がマウスで完了します。

dataPARCのトレンド化ツールは、長い間お客様から業界ナンバー1のトレンドソリューションと認められています。dataPARCのトレンド機能は他のツールよりも高速で優れており、現場での操作にも適しています。

タグブラウザからドラッグアンドドロップでトレンド表を素早く作成できるソフトウェアは、他にはありません。

dataPARCでは、タグデータの検索やトレンド化を非常に簡単に行うことができます。

PIヒストリアンとProcessBookを持つ企業の多くは、可視化ツール PARCviewの使いやすさのため、PI Historianの上位システムとしてdataPARCを採用します。

診断的分析

前述の通り、dataPARCのトレンド化アプリケーションは業界で最も優れていると言われています。使いやすさや分析ツールへの素早いアクセスだけでなく、その速度も高評価の理由です。

トレンド

dataPARCは、PARCpde (Performance Data Engine)などのコンポーネントにより、計画的なデータ速度戦略を使用しています。これによりデータ表示速度は向上し、ユーザーのデータに対する「思考速度」を追い越します。PARCpdeは、dataPARCシステム全体の基盤となる部分です。

dataPARCやPI、他の同時代ヒストリアンを比較した速度テストでは、大量または長期間のデータをユーザーに提供する際に、dataPARCが「10 – 50倍ほど高速」であることが示されています。

このデータ表示速度を理由に、多くの企業がdataPARCへと切り替えています。さらに、dataPARCは集計/ロールアップアーカイブを使用しており、問題解決や課題探索時の無駄な時間を大幅に短縮します。

また、トレンドから統計を表示したり、新しいX/Yチャートやヒストグラムの生成も簡単にできます。トレンドからタグ情報を取り込んでチャートを作成するので、ユーザーが再度タグを検索する手間はありません。

X/Yプロットでは、比較のために2つのタグを設定し、線形、多項式等の最適なフィットラインを生成できます。フィットラインの数式は、トレンドや他のディスプレイに取り込むことができます。PIでもまたX/Yプロットは生成できますが、1から作成する必要があります。また、最適なフィットラインは生成されません。

Excelアドイン

dataPARCのExcelアドインは、非常に使いやすく、高速に動作するよう設計されています。 

dataPARCとPIはどちらも、Excelに直接データを取り込むセル内関数を用意していますが、dataPARCのアドインはさらに多くの機能を持っています。

シートでは、数式を一切扱うことなく、同じ時間範囲にある複数のタグを引き出すことができます。ユーザーは、dataPARCのディスプレイからタグを直接ドラッグ&ドロップできるため、再度タグを検索する手間はありません。

旧来のExcelアドインツールで得られるメリットに加えて、dataPARCのアドインには以下の特性があります:

  • 複数のデータソースからタグ/データのグループをExcelにドラッグ
  • 複数のタグの値に基づいてデータをフィルタリング
  • 相互相関/R2マトリックスを生成
  • CUSUMとMSRのチャート作成

さらに、Excelの時系列データをPARCviewのトレンドや表示に表示できます。これにより、システムに接続していない社外データをプロセスデータと並べて表示し、トレンド化や分析が可能になります。

「ProcessBookとPI Visionのベストな代替ソリューション」をダウンロードし、ProcessBookの代替ツールを比較しましょう。

運用管理

リアルタイム運用管理により、プラントを最大限に効率よく稼働させ、予期せぬダウンタイムや品質ロスに繋がるプロセス不全に迅速に対応することができます。

dataPARCは、以下の方法で運用管理をサポートします。

  • グラフィカルなプロセス表示
  • KPIダッシュボードおよびラボデータダッシュボード
  • データ手入力(MDE)ツール
  • 自動化されたレポート作成
  • プロセスのアラームと通知
  • その他

dataPARCとPIの両者とも、多くの情報を盛り込んだグラフィカルダッシュボードを作成できます。更にdataPARCでは、強力な監視ツール「センターライン」を提供しています。

センターライン

センターラインはdataPARCが独自に開発した監視ツールで、Runベースで統計情報をリアルタイム表示します。Runは銘柄や製品、時間ベースなどを選択可能で、時間平均/標準偏差/CpK/Min/Maxなどの統計情報を表示します。

センターラインはRunデータを表示し、プロセス条件が各Runで一貫していることを確認できます。

センターラインの目的は、生産に最適な運用設定を決定し、その設定通りに生産が行われているかを確認することです。

センターラインは強力なデータ分析ツールの1つで、これはPIには無い機能です。

アラームと通知

dataPARCのアラームと通知のシステムは、アラーム検出/解消のタイミングで、メール送信、テキスト通知、ワークフロー起動などのイベントを設定できます。アラームが検出されると、アラームイベントが作成され、トレンド/センターライン/グラフ/アラームリストから履歴を確認できます。また原因ツリーからイベント理由の割り当て、コメント入力などをすることで、イベントの詳細を記録できます。

蓄積されたアラームは原因分析に活用できます。アラーム原因の割合をパレートチャートから分析したり、原因ごとに全てのコメントを並べた表形式のレポートを作成したりすることで、生産効率を下げている原因を特定と対処ができます。

PIでも同様に、イベントフレームの作成と通知送信が可能です。イベントフレームが検出され、原因が割り当てられると、このデータをPI Visionで表形式で表示できます。しかし、詳細な分析やレポート作成はExcelアドインを使用する必要があります。

dataPARCでは、Excelにエクスポートすることなく、イベント分析やレポート作成が可能です。またExcelアドインにも、アラームイベントデータを取り込む機能は含まれています。

データ手入力(MDE)

dataPARCのMDE表示は設定が簡単で、ユーザーが手動でデータを入力し、データベースに保存することができます。

手動で入力したデータはタグとして表示され、PARCviewのトレンド、ダッシュボード、およびグラフィックにて、他のタグと同様に使用することができます。

プロセスエンジニアにより良いデータを提供しませんか?最適なリアルタイムプロセス分析ツールによる、データに基づいた意思決定の重要性をご紹介します。

計算

MDEや計算タグや使用することで、プロセス管理に最適なタグを追加できます。dataPARCとPIはどちらも、タグ追加、if/thenステートメント、単位変換などの簡易的な計算が可能です。

PI VisionはVBスクリプトのサポートを打ち切りました。VBスクリプトは高度な計算/外部データベース読み込み / ファイル解析 / Webサービスの呼び出しなど、機能拡張にて利用されます。dataPARCは引き続きVBスクリプトをサポートしています。

予測的分析

dataPARC – PARCmodelは、PLS/PCAモデリング機能を搭載しており、ユーザーによる予測的分析が可能です。

PLS (部分的最小二乗法)

dataPARCのPLSパッケージは、世界トップクラスの実践的モデリングエンジニアから「これまでに見たことがない素晴らしいツール」と評されています。製造業界のPLSモデリング用途の1つとして、IPP (推論特性予測因子)の構築があります。

メーカーの制御エンジニアは、1つのIPPからPLSモデルを生成する場合、複数ツールとオフライン環境による再モデリングに8時間以上かかる(初期モデルの作成はさらに時間がかかる)可能性があると報告しています。しかしdataPARCでは、これらすべてが1つのツールに統合されており、再モデリングに必要な時間は2~5分です。

スムーズにPLSモデルを生成できるので、モデルをいくつも生成して比較し、最適なモデルを見つけることができます。現場的エンジニアリングや現場プロセスで重宝されてきた「プロの勘」が、短時間のPLSモデル作成により可視化 / 検証できるようになりました。

dataPARCの予測モデリングツール

dataPARCのモデル作成ツールは、大幅な時間削減、より良い学習環境、より良い情報共有、そしてより有用なアプリケーションを提供します。これら全ては、会社の主要なビジネス価値を加速させます。

PCA (主成分分析)

PCAは、dataPARCのPLSモデリングの利点を活用し、簡易的なモデル生成を可能にします。PLSはプロセスに関与するであろう複数のタグを入力変数をとし、単一の出力変数をモデリングします。一方、PCAでモデリングするのは単一の変数ではなく、プロセス全体となります

PCAの価値は、現在のプロセスとモデリングされたプロセスを比較することにあります。モデリングされたプロセスと現行プロセスを比較し、プロセスに異常が起きたタイミングをユーザーが確認できます。また問題を引き起こすプロセス変数を特定します。

PCAでは、DMODX(モデルからの誤差)とHT2N(多変量正規分布からの逸脱度)という2つのパラメータを使用します(これらはPLSモデルでも使用可能です)。PCAモデルの入力変数はすべて評価され、オペレーターは問題を引き起こしている変数を確認できます。PCAを早期警告システムとして活用することで、運用部門が問題発生前に対策を講じることができます。

PARCmodelの利用には別途ライセンスが必要ですが、ネイティブでPARCviewに組み込まれているため、トレンドの右クリックからアクセス可能です。

ProcessBookの代替ソフトウェアを検討していますか?ProcessBookの代替ツールの比較記事をご覧になり、PARCviewの特徴をご確認ください。

お客様に寄り添う開発体制

dataPARCでは、クライアントが今まさに必要とする現場的ニーズを最優先しています。dataPARCは、クライアントのニーズに対する高い敬意と迅速な問題解決に重きを置いて活動しています。

dataPARCは、業界内で重要なプロセスエンジニアリングの役割を果たす専門家を多数擁しています。dataPARC全体のシステムアーキテクチャとユーザー機能は、長年にわたるクライアントと私たちとの共同作業により形成されてきました。dataPARCは、エンドユーザーのためのソフトウェアを、エンドユーザーの皆様の協力により構築してきました。

dataPARCはソフトウェアだけでなく、トレンドやグラフィックの作成、および顧客システムの稼働を支援するサービスも提供しています。私たちのエンジニアとサポートスタッフは、新規プロジェクトの立ち上げから継続的なサポートまでいたします。

dataPARCでの開発/導入体制は、常にクライアントである皆様を中心に据えています。

結論

dataPARCとPIには多くの共通点があります。しかしユーザーエクスペリエンス、データの処理速度、コストなどの面において、dataPARCが優れているといえます。dataPARCはシンプルで、そして速く、さらに効果的です。

dataPARCでは、さらなる新機能や速度向上のためのアップデートを予定しています。私たちと皆様の力で進化していくソフトウェアこそが、dataPARCです。

ガイドをダウンロード

PIの分析ツールキットのProcessBookとPI Visionの有力な代替ツールを検討します。