このブログでは、オンプレミス型データヒストリアンとクラウド型データヒストリアンを比較します。各アプローチの利点と欠点、拡張性への影響、コスト、セキュリティなどを検証し、どちらを選択するかを決定する際に考慮すべき重要事項を示します。
はじめに
今日の製造メーカーはますますデジタル化に向かっており、いくつもあるソースからのデータの取り込み、およびその保存と分析が最重要事項になっています。これがデータヒストリアン開発の増加につながって、企業はデータヒストリアンをクラウド型にするかオンプレミス型にするかの選択に迫られています。
工業系の会社は、従来はオンプレミス型データヒストリアンに頼ってきました。一方のクラウド型データヒストリアンは、この市場にとって比較的新しいアプローチです。 この議論を行うために、ここでは、クラウド型データヒストリアンを「ベンダーによってホストされるSAAS会社」と定義します。
オンプレミス型データヒストリアンは、オンプレミスのニーズを満たすためのデータ制御とデータの所有権、セキュリティ、高い信頼性とパフォーマンスを提供しますが、 相当量のITサポートが必要になり、企業全体の拡張性が制限される場合があります。
一方、クラウド型のヒストリアンは、クラウドを念頭に設計されており、時系列データをリモートで保存して活用するというニーズから生まれたものです。クラウド型は柔軟ですが、全体的な所有コストがすぐにオンプレミス型を上回ります。
オンプレミス型にもクラウド型にも、それぞれの長所と短所があります。それらをより深く見ていきましょう。 ヒストリアンのその他の重要な属性については、データヒストリアンに求めるものに関する記事をご覧ください。
利点と欠点: クラウド型とオンプレミス型
クラウド型ヒストリアンの利点:
クラウド型ヒストリアンは新しい技術であり、従来からあるオンプレミス型ヒストリアンのいくつもの制限事項を解決できます。
先行投資が少ない: クラウドベースのヒストリアンは、一般的に最小限の先行投資しか必要ありません。ハードウェアとインフラストラクチャを購入してメンテナンスする必要がないためです。
拡張しやすい: クラウドベースのヒストリアンは、多くの場合、クラウド環境にリソースを追加するだけで規模拡張することができ、いたってシンプルです。このため、データニーズが増えるにしたがって行う拡張が簡単です。
管理: 多くの場合、クラウドベースのヒストリアンには、データおよびインフラストラクチャの監視と管理が簡単に行える組み込みの管理ツールが備わっています。
複数のサイトとの統合が簡単: クラウドベースのヒストリアンでは、簡単に複数のサイトからデータにアクセスできます。このため、外部アプリケーションにもデータとのインターフェースを簡単に持たせることができます。
独自技術を使用する自動化ベンダーに依存しなくてよい: クラウドベースのヒストリアンは、多くの場合、ベンダーにとらわれません。さまざまな自動化ベンダーおよびさまざまなシステムで使用できます。
ベンダーエコシステム: プロバイダーの中には、すぐにクラウド型ヒストリアンと統合できるサードパーティ製アプリケーションを持っている会社もあります。

オンプレミス型ヒストリアンの利点
オンプレミス型ヒストリアンには、クラウドベースのソリューションでは得られない利点がいくつかあり、ユースケースによってはこちらが理想的な場合があります。
制御と所有権: オンプレミス型ヒストリアンでは、自社のデータを会社で完全に制御することができ、完全な所有権と自主性を確実に手に入れることができます。データはその会社が所有するハードウェアに保存され、自社のニーズと要件に応じて自分で監視し、管理することができます。 これは、ITARやIEC62443のような特別なコンプライアンス要件を抱えている場合に特に重要です。
セキュリティ: オンプレミス型ヒストリアンでは、データがその会社自身のファイアウォール内に置かれるため、追加のセキュリティ層が得られます。これは、サイバー脅威やデータ漏洩、不正アクセスなどのリスクを低減するのに役立ちます。
総所有コストの削減: オンプレミス型ヒストリアンは、クラウドベースのソリューションと比べて必要な総所有コストが低くなります。企業が負担しなければならないのは、ハードウェア、ソフトウェア、およびメンテナンスのコストのみで、クラウドを購読するという繰り返し発生するコストがありません。さらに、高速インターネット接続も必要なく、クラウドサービスプロバイダーへの依存度も低くなります。
クラウド型ヒストリアンの欠点
クラウド型ヒストリアンには多くの利点があるにも関わらず、負荷をクラウドに移すにはいくつもの課題が残されています。
高い総所有コスト: クラウド型ヒストリアンは、先行投資は少ないものの、総所有コストは年月が経つにつれてはるかに高くなります。クラウド型ヒストリアンでは、通常、データの保存と転送が課金されるためです。このコストは、特に大規模運用では、瞬く間に積み上がっていきます。5年間に渡る総所有コストが、オンプレミス型の選択肢と比較して桁違いに大きいことが判明したリソースもあるぐらいです。

クラウド型ヒストリアンとオンプレミス型ヒストリアンでは発生する総所有コストが異なる
インターネットへの依存: クラウド型ヒストリアンは、データの転送と保存をインターネット接続に頼っています。接続が失われたり低速だったりすると、このことで問題が引き起こされる場合があります。これが遅延やデータ損失につながる場合もあり、ひいては生産に影響したり、ダウンタイムが発生したりします。
潜在的なセキュリティリスク: クラウド型ヒストリアンは高いセキュリティレベルを提供する一方で、常にデータ漏洩とサイバー攻撃のリスクを伴います。クラウド型ヒストリアンでは、データが、ハッキングやセキュリティ上のその他の脅威に対して脆弱なサードパーティのサーバー上に格納されるためです。
データに対する制御権が制限される: クラウド型ヒストリアンはデータに対する制御権が制限される場合があり、自社のデータを細かく管理し、監視する必要がある会社にとっては、これが問題となり得ます。クラウド型ヒストリアンではデータへのアクセス方法やデータの使用方法に制限事項があって、運用の柔軟性や俊敏性が限られる場合があるためです。
オンプレミス型ヒストリアンの欠点
オンプレミス型ヒストリアンにはさまざまな利点がある一方で、決断を下す前に検討すべき欠点もいくつかあります。
拡張性が制限される: オンプレミス型ヒストリアンは、産業プロセスで生成されるデータ量が増えるにつれ必要となる拡張が困難な場合があります。また、拡張によりハードウェアの追加が発生したり、メンテナンスコストが増加したりします。
先行投資が大きい: オンプレミス型ヒストリアンには、ハードウェア、ソフトウェア、およびITインフラストラクチャへの大きな先行投資が必要となり、これが小規模から中規模程度の企業には大きな障害となり得ます。
柔軟性が限られる: オンプレミス型ヒストリアンは、通常、特定のユースケースを対象に設計されており、新しい要件や変化し続ける要件に簡単には適応できない可能性があります。
独自性の性質: 多くのオンプレミス型ヒストリアンは生来独自性が高く、これによって他のシステムやサードパーティ製アプリケーションとの統合が制限されがちです。このため、最新の接続された製造環境の構築が困難な場合があります。
dataPARCのソリューション
dataPARCは、オンプレミス型ヒストリアンとクラウドベースのヒストリアンの架け橋となることを狙ったソフトウェアソリューションです。dataPARCは、オンプレミスのニーズ解決における40年を超える経験を備えたうえで、オンプレミスを超えてユースケースを拡張する機能を構築し、エンタープライズ規模のソリューションを提供してきました。

エンタープライズ規模のソリューションは重要です。他のヒストリアンとの比較をご覧ください。
dataPARCの重要な機能の1つが、そのオープン接続性です。この機能のおかげで、簡単にクラウドサービスに接続して、求められているユースケースに適切なデータを送信し、必要に応じてデータを取り出すことができ、他のオンプレミスソリューションが抱えている、柔軟性が制限されるという問題が解決します。
このベンダー中立なアプローチは、dataPARCがどの主要な自動化ベンダーにもクラウドサービスプロバイダーにも縛られていないということを意味します。このため、自社のニーズに最適な選択肢を選べるという柔軟性が得られます。 オンプレミス型が最適なニーズにとっては、dataPARC Historianが優れたソリューションです。 クラウド型が最適なニーズに対しても、dataPARCなら、お客様が選んだクラウドサービスにデータを送ることができます。
dataPARC Historianは、非常に拡張性が高く、そのアーキテクチャは小規模運用にも複数の場所に拡がるエンタープライズにも適応します。追加のデータソースおよびストレージ容量をシームレスに組み込み可能です。
dataPARCなら、インテグレータも企業も両方の世界の優れた点を活かし、クラウドコンピューティングの利点を活用しながら、自社の既存オンプレミスへの投資も活かすことができます。
クラウド型とオンプレミス型のデータヒストリアンに関する結論
結論として、データヒストリアンにクラウド型とオンプレミス型のどちらを選択するかは、製造業務の規模、必要な制御と所有権のレベル、コストと拡張性の考慮事項などのさまざまな要因により決まります。
クラウド型ヒストリアンでは、柔軟性、拡張しやすさ、低い先行投資などの利点が得られる一方で、総所有コストが高い、データに対する制御権が制限される、潜在的なセキュリティリスクがあるといった欠点もあります。
オンプレミス型ヒストリアンでは、データに対するより大きい制御性と所有権、低遅延、低い総所有コストなどの利点が得られますが、ITサポートが必要なうえ、多くの場合、独自技術が使用されます。
これらを踏まえると、dataPARCは両方の世界の優れた点を提供し、オンプレミスのニーズを解決することにおいて40年を超える経験を備えたうえで、オンプレミスを超えてユースケースを拡張する機能も構築してきました。
そのエンタープライズ規模のオープン接続性とベンダー中立なアプローチで、柔軟性と拡張性を備えたコストパフォーマンスの高いデータヒストリアンソリューションを求めているインテグレーターや企業にとって最適なソリューションを提供します。
最終的に、データヒストリアンソリューションの選択は、それぞれの製造業務に固有のニーズと目標に基づいて行うべきであり、各アプローチの長所と短所を注意深く評価することが、十分な情報に基づいた意思決定を行うことに役立ちます。