このブログでは、リアルタイム製造ダッシュボードとは何か、なぜ重要なのか、そして効果的な導入方法についてご紹介します。業務概要からパフォーマンス指標まで、製造ダッシュボードの主な種類について説明します。リアルタイム製造ダッシュボードを統合することで、効率の向上や安全で生産性の高い製造環境の確保など、製造プロセスがどのように変革されるかをご覧ください。
dataPARCでKPIを効果的にモニタリングするためのリアルタイムのダッシュボードと表示を作成します
リアルタイム製造ダッシュボードの重要点
リアルタイム製造ダッシュボードは、生産データと製造KPI (主要業績評価指標)を随時表示する動的なツールです。一元化された場所からでなくてもプロセス全体をモニタリングできるため、より安全な労働環境を作り出すことができます。また、データに基づいた意思決定を行うことができるので、生産を最適化し、全体的なパフォーマンスを向上させることができます。
いくつかの種類のリアルタイム製造ダッシュボードがあります。その多くはどの製造業にも共通するものですが、中には企業の目標に応じた特殊なものもあります。各リアルタイム製造ダッシュボードには、製造環境におけるそれぞれの目的と用途があります。
業務概要:
業務概要は、最も一般的なタイプの製造ダッシュボードかもしれません。パイプラインやポンプなどのプロセス領域が示されます。非常に詳細な概要では、パイプの流れ方向も表示できます。運用ダッシュボードには、プロセス領域のスナップショットが表示され、必要に応じてより詳細なデータをすばやく表示できます。
機器の故障やプロセスの中断などの問題を即座に検知し、迅速に対応することでダウンタイムや生産の遅れを防ぐことができる、非常に有益なツールです。また、プロセスを学習したてのオペレーターやエンジニアのためのトレーニングツールとしても最適です。
財務ダッシュボード:
財務ダッシュボードは、生産現場や製造現場には直接関係しませんが、コスト関連の指標をリアルタイムで表示します。製造データに関しては、財務ダッシュボードでは運用コスト、投資利益率(ROI)、単位当たりのコストを確認でき、財務結果を生産活動に関連付けることができます。
パフォーマンスダッシュボード:
パフォーマンスダッシュボードは、効率と生産性に焦点を当てています。総合設備効率(OEE)、機械の速度、生産率、品質指標などの主要な指標が表示されます。パフォーマンスダッシュボードは、その名のとおり、メーカーがパフォーマンス目標の達成状況を追跡し、改善点を特定するのを支援します。効果的なKPIダッシュボードとレポートの作成は、どの部門にとっても極めて重要です。これらはメンテナンスダッシュボードとしても使用できます。
エネルギー消費ダッシュボード:
持続可能性とコスト削減に重点を置いたこのダッシュボードは、さまざまな機械やプロセスラインのエネルギー使用と効率をリアルタイムでモニタリングし、エネルギー削減の機会を特定できるようにします。
品質ダッシュボード:
品質ダッシュボードは、ラボデータと品質データを表示する重要なツールです。製造プロセスが仕様に適合していることを確認できます。生産品質と広範なテストが業務の成功の基盤となる産業界では、このダッシュボードは特に重要です。品質指標をリアルタイムで確認できるため、迅速な是正措置と継続的なプロセス改善を実施できます。
リアルタイムダッシュボードを使用するメリット
さまざまなリアルタイム製造ダッシュボードを統合することで、メーカーは業務について多角的に把握できます。それにより、パフォーマンスの最適化、生産量の維持、コストの削減、意思決定プロセスの改善が可能になります。
業務効率の向上:
リアルタイムダッシュボードは、カスタマイズ可能なディスプレイに生産プロセスの全体像を表示することで、業務効率を大幅に向上させます。一度に数個のデータポイントしか表示されない従来のDCS画面とは異なり、ダッシュボードは、機械に関連する数十から数百のデータを同時に表示できます。
このダッシュボードは、常に起動しておくことが可能です。つまり、選択した1~2個のダッシュボードを常に開いておいて、複数のプロセス領域の重要な指標、トレンド、アラームを確認することができます。オペレーターは、必要な情報を収集するために、複数の画面を繰り返し切り替える必要がありません。
リアルタイムダッシュボードは、膨大な量の機械データを統合することにより、オペレーターの認識負担を軽減します。オペレーターは、プロセスをただモニタリングするのではなく、プロセスを最適化することに集中できます。
製造指標を理解する: プラントのピークパフォーマンスのKPIを決定、測定、レポートするためのガイドです。
生産の最適化:
リアルタイムダッシュボードを利用することで、オペレーターはプロセスのトレンドを把握でき、それに基づいて生産を最適化できます。たとえばアラームをカスタマイズすれば、標準的なパフォーマンス指標からの逸脱や異常をオペレーターが直ちに認識できます。そうすることで、生産停止や機器の損傷につながる前に、問題に迅速に対処できます。
また、ダッシュボードは、プラント運用における相互確認を促進します。たとえば、下流プロセスのオペレーターが、業務概要ダッシュボードにアクセスして上流プロセスの状況をモニタリングすることができます。
このような統合的なモニタリングにはメリットが2つあります。1つは、手動操作による部門間の意思疎通の必要性を減らせることです。特に重要な状況下では、手動操作では時間がかかることがあります。もう1つのメリットは、生産が中断する可能性がある場合でも、生産を円滑に継続できることです。それにより、リソースの使用が最適化され、無駄が最小限に抑えられ、製造プロセス全体の応答性が向上します。
安全性の強化:
リアルタイムダッシュボードの利用は、製造企業の安全性を高めます。集中モニタリングを行うことで、危険な場所を巡回して頻繁に行わなければならない現場検査の必要性を減らすことができます。ダッシュボードには、重要な安全指標、ビデオストリーム、リアルタイムアラートなどの詳細な情報を表示でき、危険な状況の発生をいち早く察知できます。
リアルタイムダッシュボードは、緊急事態の際にも、オペレーターに影響範囲についてのデータを即座に提供することで、重要な役割を果たします。この情報は、効果的な対応の調整と従業員の安全確保のために不可欠な情報です。
コミュニケーションとトレーニングツールの改善:
リアルタイムダッシュボードは、製造業務におけるコミュニケーションを著しく改善する優れた情報ツールです。簡単にアクセスできるプラットフォームに重要なデータを統合することで、ダッシュボードは、オペレーターからスーパーバイザーまですべてのチームメンバーが同じリアルタイム情報を利用できるようにします。
さらに、これらのダッシュボードにアラートや通知を組み込むことで、コミュニケーションを自動化したり、対象を絞ったりすることもできます。特定の条件が満たされたり、しきい値を超えたりした場合、関連する担当者に自動的に通知が送られ、担当者は即座に対応できます。
運用ダッシュボードには、全体にわたる履歴データが豊富に備わっているため、優れたトレーニングツールとしても活用できます。ダッシュボードには、プロセスフロー図や画像のほか、生産量や実際の生産額などの機械データに関する詳細な情報があります。この豊富な情報は、新入社員にとって非常に有益な情報です。重要な業務指標を短期間で理解し、生産環境の複雑さに慣れることができます。
ダッシュボードの威力を示す5つの例
1.バッチダイジェスターの業務概要
バッチダイジェスターの運用ダッシュボードは、リアルタイムの製造可視化が効果を発揮する一例です。400以上のタグを表示するこのダッシュボードは、タンクレベル、ポンプの状態、バルブ位置、システム全体の温度測定値など、プロセスの包括的なビューを提供します。
さらに、ダッシュボードのインタラクティブな操作性が、その実用性を高めます。オペレーターは、PARCviewをダブルクリックするだけで、データポイントをさらに詳しく分析し、詳細なプロセストレンドを表示できます。
2.包括的な品質およびパフォーマンスダッシュボード
このようなラボおよびパフォーマンスダッシュボードは、機械データと品質データの両方をリアルタイムで表示するためには不可欠なダッシュボードです。これらは、ラボオペレーターと機械オペレーター間のコミュニケーション効率を高めます。
いずれかの値が指定範囲から外れると、生産ダッシュボードの背景の色が変わり、即座にアラートが発せられます。このような視覚的な合図により、品質問題が即座にフィードバックされるため、オペレーターは電話で直接やり取りする必要なく迅速に是正措置を講じることができます。
3.モニタリングの効率化: 1つの画面に抄紙機全体を表示
運用ダッシュボードに、抄紙機全体の包括的な概要が表示されます。従来は10~20台のDCS画面を必要としていたものが、1台の4Kディスプレイに統合されます。
パイプ、タンク、機械自体が詳細に表現されたこのダッシュボードは、オペレーターにとって不可欠なツールです。その広範にわたる情報は、制御室から直接迅速な評価と決定を行うための重要なリソースとなり、モニタリングプロセスの効率化と業務の改善を実現します。
4.Power BIによるダウンタイム追跡
このPower BI生産ダッシュボードは、ダウンタイムを追跡し、その主な原因を特定するためのパフォーマンスツールとして機能します。Power BIが適切に構成されて接続されている場合に、業務上の課題に関するリアルタイムの情報が、Power BIでどのように提供されるかを示します。この機能を利用することにより、メンテナンスチームは、さらに高いレベルでダウンタイムの問題を特定し、対処することができます。
5.業務とパフォーマンスに関する情報の統合
この複合ダッシュボードには、業務概要とパフォーマンス指標が統合されています。クリップアートや画像を用いて表現されるダッシュボードは、運用状況や業績評価指標などの重要なデータを表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作できるように誘導します。
クリック可能なセクションから詳細なビューや追加データを表示することにより、さらに詳しい情報が得られます。このようにして効率的にデータにアクセスできるため、ユーザーは非常に簡単にダッシュボードを操作でき、複雑な情報が、管理しやすい実用的な情報になります。
リアルタイム製造ダッシュボードの開発に必要なこと
リアルタイム製造ダッシュボードを現場に導入するには、入念な計画と検討が必要です。このプロセスは通常、ダッシュボードを固有のニーズに合わせるために、いくつかの戦略的なステップを経て展開されます。既存のシステムとのシームレスな展開および統合が必要です。
ソフトウェアの選択
効果的なリアルタイム製造ダッシュボードを開発するには、適切なソフトウェアを選択することが重要です。
dataPARCは、リアルタイム製造ダッシュボードのソフトウェアとして理想的な選択肢の1つです。包括的にデータを収集し、優れた可視化機能を提供します。ツールを使用して、複雑なデータをわかりやすくカスタマイズ可能な視覚データに変換でき、重要なプロセス変数とKPIを継続的にモニタリングできます。それにより、迅速な意思決定と問題の即時解決が可能になります。
また、dataPARCは、既存のシステムとシームレスに統合できます。業務の全体像を提供するとともに、データを動的に表示できるため、メーカーは潜在的な問題を迅速に特定して対処できます。dataPARCを選択することで、技術やプロセスの進歩に合わせて進化する、拡張性と適応性に優れたツールを備えることができます。
dataPARCの優れた可視化ツールを使用して、リアルタイム製造ダッシュボードを構築できます。
チーム編成
適切なチームを編成できるかどうかが、モニタリングダッシュボードシステムの開発と導入の成否を左右します。生産プロセスに関する深い知識と、デジタルソリューションを導入するための技術的スキルの両方を備えた人材を活用することが重要です。
オペレーターは、モニタリング対象の機器やプロセスと毎日接することになるため、特に重要です。オペレーターにそれらの知識があれば、ダッシュボードに適切なデータを表示して、実際の業務のニーズを満たすことができます。さらに、IT専門家、データアナリスト、管理職をダッシュボードの作成に参加させることで、包括的な視点が得られ、機能性が向上し、ビジネス目標に沿ったものにできます。
イニシアチブを推進するには、ダッシュボードに関するリーダーや担当者を指名することが重要です。そうすることで、プロジェクトが順調に進み、施設の運用基盤にダッシュボードが効果的に統合され、ダッシュボードの使いやすさと長期的な適合性の両方を高めることができます。
デザインの一貫性
リアルタイム製造ダッシュボードでデザインの一貫性を保つことは、さまざまな立場のユーザーが使いやすく、すばやくデータを理解できるようにするうえで役立ちます。開発プロセスの早い段階で、レイアウト、配色、データ表示などのデザイン標準を決定することにより、ユーザーが重要な情報をすばやく見つけて理解しやすくなり、迅速な意思決定や新人スタッフの学習も容易になります。
すべてのダッシュボードで、類似するデータタイプに同一のカラーコードを使用することで、一貫性が保たれ、問題を迅速に特定できます。これは、緊急時には非常に重要なことです。設計プロセスにエンドユーザーを参加させ、彼らのフィードバックを取り入れることで、直感的でありながら業務ニーズを満たすダッシュボードを開発できます。この方法なら、個人やチームのパフォーマンスだけでなく、業務全体の効率も向上させることができます。
トレーニングと継続的なサポート
効果的なトレーニングと継続的なサポートを実施することで、リアルタイム製造ダッシュボードの可能性を最大限に活用できます。包括的な初期トレーニングを実施することで、データの解釈、運用対応、トラブルシューティングなど、ダッシュボードの機能を使いこなせるようになります。
PARCviewのような、dataPARCの使いやすいインターフェースは、技術的なスキルの有無に関わらず、すべてのユーザーが利用しやすい学習プロセスの構築を支援します。
継続的に教育を受けることで、ユーザーは新機能を習得し、データ分析と意思決定能力を向上させることができます。サポートシステムは定期的に更新を行い、ユーザーからのフィードバックを取り入れることで、ダッシュボードの有効性を維持し、進化する製造業のニーズに対応しながら、問題に対するタイムリーな解決策を提供します。
製造指標を 理解する
プラントのピークパフォーマンスのKPI を 決定、測定、レポートするためのガイドです。